申請から許可までの流れについて
「特殊車両通行許可制度」において、車両制限令で定められた一般的制限値を一つでも超える車両は、特殊車両として道路管理者から通行許可を受けなければ、道路を通行することはできません。
「特殊車両通行許可制度」で道路管理者に申請をして、特殊車両通行許可証が交付されるまでの概要は次のようになります。
必要書類を揃える
「特殊車両通行許可制度」にて許可申請をするにあたって、道路管理者に申請する書類を揃える必要があります。必要となる書類は、新規、更新、変更申請のどの申請をするかによって多少違いがありますが、新規申請において必要な書類は次のようになります。
1. 特殊車両通行許可申請書(様式第1・様式第2)
2. 車両内訳書(包括申請の場合)
3. 車検証の写し(原則:窓口申請の場合)
4. 車両諸元に関する説明書
5. 軌跡図(超寸法車両又は道路管理者から求められた場合)
6. 適合証明書(ラフタークレーン等の新規開発車両)
7. 通行経路表
8. 経路図
9. 出発地、目的地、未収録路線の地図
10. 特殊車両通行許可システムで作成した申請データを記録した記録媒体
(窓口申請の場合)
11.その他上記以外の書類で道路管理者から必要と求められた書類
1.特殊車両通行許可申請書(様式第1・様式第2)
特殊車両通行許可申請書の様式第1には申請者や通行期間、車種、車両番号、積載貨物、積載物の寸法、車両諸元等が記載されています。
特殊車両通行許可申請書の様式第2は記載されている内容は様式第1と同じですが、下段の部分に違いがあります。
下段の部分が特殊車両通行許可証となり、許可証として交付される際、許可番号と許可年月日、許可証の有効期間が記載されます。
※特殊車両通行許可システムを使用して作成します。
2.車両内訳書
車両内訳書は包括申請(車種、車軸数、積載貨物、通行経路及び通行許可期間が同じである2台以上の申請台数について一つの許可申請書によってする申請)の時だけ添付します。
申請車両が1台(トラクタ1台とトレーラ1台の1セットの場合も含む)だけの普通申請の場合は必要ありません。なぜなら申請書の様式第1に申請車両の車両番号と車名、型式が記載されているためです。
※特殊車両通行許可システムを使用して作成します。
※普通申請で特殊車両通行許可システムを使用して申請書の作成をした場合、そもそも車両内訳書は作成されません。
※包括申請で複数台申請する場合は、申請書の様式第1に代表車として1台だけ車両番号と車名、型式が記載されますが、それ以外の車両は「他〇台」と記載されます。よって、車両内訳書にて申請する全ての車両の車両番号と車名、型式が記載されることになります。
3.車検証の写し
主に、窓口で申請する際に必要となります。申請する時に車検証の有効期限が切れていないか注意しましょう。
なお、オンライン申請の際は、原則として添付する必要はありません。
※車検登録前でも特車申請をする事が可能です。これにより車検登録後速やかに特殊車両として走行することができます。
ただし、申請前に必ず申請先に事前相談を行い、車検証に代わる車両の資料(車両の実測結果・メーカーカタログ・保安基準緩和認定の写し等)を添付します。車検登録後、速やかにその車検証の写しを申請先に提出します。
車検証を提出しない限り許可証は交付されません。
なお、申請時に提出した資料と車検証の内容に大きな差異がある場合は許可されません。車検証の記載内容にて再申請することになります。
4.車両諸元に関する説明書
主に、車両の長さ、幅、高さ、重量、軸重、軸距や積載物重量等、申請する車両の詳細な情報が記載されています。
これらは、申請車両の車検証と諸元表、外観図を元に入力します。
※特殊車両通行許可システムを使用して作成します。
※諸元表と外観図はメーカーに問い合わせてFAX又はメール等で送ってもらう必要があります。ただし、メーカーによっては有料となる場合があります。
5.軌跡図
申請車両が超寸法車両の場合や道路管理者から求められた場合に必要となります。
軌跡図作成ソフトで作成するか、製造メーカーからもらう必要があります。
※道路管理者から求められた場合、縮尺や角度を指定される場合があります。
※道路管理者が申請された車両が交差点等を曲がれるかどうか判断するのに必要となり、一般的には道路台帳に軌跡図を照らし合わせて接触せずに曲がれるかどうかで判断しています。
6.適合証明書
適合証明書とは、新たに設計製作される車両(新規開発車両)で、車両制限令第3条で定める一般的制限値を超えるもので、届出書を提出して、国土交通省道路局から基準に適合する車両として認められ交付される証明書のことです。
主にラフタークレーン等に交付されています。
7.通行経路表
特殊車両通行許可システムの地図上(付図)の交差点を繋げていき経路を作成した際、選択した交差点の交差点番号と道路名称等が通行順に羅列した表のことです。
また、表の上段に出発地と目的地の住所と名称を記載します。
※特殊車両通行許可システムを使用して作成します。
8. 経路図
通行経路を記した地図で原則として1/300,000の地図に赤線で経路を示し、出発地と目的地を明示します。
※特殊車両通行許可システムを使用して作成します。
9. 出発地、目的地、未収録路線の地図
出発地と目的地がどこで、特殊車両通行許可システムの「道路情報便覧」に収録されていない未収録路線をどう通行するのかが分かる周辺の地図で、通行する道路や道路番号(名称)等を記載します。
※出発地と目的地の地図は通行する道路が採択されている道路(道路情報便覧に収録済みの道路)で完結している場合、申請先によっては省略することが可能です。
https://www.tokusya-ctc.com/?page_id=1213
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「採択路線」と「未収録路線」の詳細は弊所ホームページのコチラをご参照ください。
10.特殊車両通行許可システムで作成した申請データを記録した記録媒体
特殊車両通行許可システムで作成した申請データをCD等の記録媒体に保存して、印刷した申請書と一緒に提出します。(窓口申請の場合)
※オンライン申請の場合、申請データはインターネットを通じて送信により申請するため、申請データを保存したCD等を別途発送する必要は原則ありません。
11. その他、上記以外の書類で道路管理者から必要と求められた書類
例えば、諸元表、外観図、荷姿図、積載物の資料、工事資料等です。
オンライン又は窓口で申請する
必要書類を作成し、提出する準備が整ったら申請となります。申請にはオンライン申請と窓口申請があり、オンライン申請では行政機関の窓口に出向く手間が省ける等メリットがあります。
https://www.tokusya-ctc.com/?page_id=1205
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「オンライン申請」と「窓口申請」の詳細につきましては弊所ホームページのコチラをご参照ください。
申請手数料について
申請経路が複数の道路管理者に跨る時は、原則として申請者が受付けられた時点で手数料が必要になります。
この手数料は、関係する道路管理者への協議などの経費で、実費を勘案して決められています。
その額は、国の機関の窓口では200円(1経路)、都道府県及び政令市等の窓口では、条例によって多少異なる場合があります。
手数料の算出方法は次のようになります。
申請台数(連結車の場合はトラクタの台数)×申請経路数×200円
窓口申請の場合は、申請時に現金又は収入印紙にて支払います。(申請先によって異なります。)
オンライン申請の場合は、申請後に申請者へ直接、手数料の納入告知書が国道事務所から送られてきます。
道路管理者による申請内容の審査
特殊車両通行許可の申請書を受付けた道路管理者は、申請車両の通行の可否について審査をします。
・「個別審査無し」の申請の場合
出発地から目的地まで特殊車両通行許可システムの「道路情報便覧」に収録済みの「採択路線」のみの通行で到着でき、かつ、その途中で狭小、上空、曲線、交差点等の「個別審査」が発生していない申請の場合、「協議」が行われない為、審期間が短くなります。
申請から許可又は不許可とされるまでの「標準処理期間」は次のようになっています。
・新規申請及び変更申請の場合 3週間以内
・更新申請の場合 2週間以内
上記の「標準処理期間」は、あくまでも「個別審査無し」の申請のみ適用され、「個別審査あり」の申請には適用されません。
・「個別審査あり」の申請の場合
「標準処理期間」が適用されませんので審査期間は次の理由により長くなります。
①申請から審査開始までの順番待ち
申請したからといって、すぐに審査が開始されるわけではありません。
申請が混み合っている場合、審査開始まで申請の順番待ちが発生します。
申請先の混雑具合によって申請の順番待ち期間は異なります。1ヵ月待ちもあれば数ヵ月待たなければならない場合もありますので、申請前に申請予定先の道路管理者に混雑具合を確認してみると良いでしょう。
②個別審査先の道路管理者の協議回答書待ち
個別審査のある申請は、申請先の道路管理者と個別審査先の道路管理者との間で、申請車両が通行可能かどうか書類のやり取りを行います。これを「協議」といいます。
「協議」に対する回答の書面のことを「協議回答書」といいます。
「協議」が混み合っている場合、「協議回答書」の返送まで順番待ちが発生します。
3日で「協議回答書」を返送する道路管理者もいれば3ヵ月近くかかる道路管理者もいます。
③申請先での許可証の交付待ち又は不許可処分
「協議回答書」が全て揃ったら許可又は不許可の処分が下されます。
許可証の作成にもやはり順番待ちがあり、申請先の混雑具合により期間は異なります。
つまり、「個別審査あり」の申請は、①申請の審査開始順番待ち+②個別審査先の道路管理者の協議回答待ち+③申請先の許可証交付待ちとなり、審査期間は非常に長くなるということです。
申請先、協議先の混雑具合で大きく審査期間が異なってきますので申請は余裕をもって早めに行った方が良いでしょう。
(通行経路数が多く協議先も多いような申請は審査終了まで半年近くかかる場合もあります。)
道路管理者は、特殊車両通行許可基準に照らして通行の可否について審査した結果、申請された車両が通行できないと判断した場合は不許可とします。
その場合は、理由を記した「不許可通知書」で通知されます。
※提出した書類に不備があると差戻されます。
オンライン申請の場合、原則として連絡はメールのみとなっており電話連絡はありません。
許可証の交付
通行が許可された場合、申請先の道路管理者から通行条件とともに許可証が交付されます。
オンライン申請の場合は、インターネットを利用して許可証のデータをダウンロードし印刷するため、申請者側で保管用の許可証の原本と使用する車両の携帯用の許可証を用意します。
※許可証のデータをダウンロードするため窓口申請と違い公印はありません。
代わりに許可証全てのページに許可番号が記載されています。
窓口申請の場合は、直接窓口に出向いて許可証を取りに行く必要があります。また、申請先によっては、保管用の原本と使用する車両の携帯用を交付してくれる道路管理者もいれば、保管用の原本のみを交付して車両の携帯用は申請者側でコピーをして用意しなければならない場合があります。
車両の携帯用は紛失、破損しても保管用の原本をコピーすれば大丈夫ですが、原本と車両の携帯用両方とも紛失、破損した場合は再交付申請する必要があります。(窓口申請の場合。)
再交付申請となると手間がかかりますので、許可証が交付されたらPDF等でデータでも保管しておくことをお勧めします。
紛失、破損しても保管したデータから印刷すれば良いからです。
オンライン申請の場合は、再度ダウンロードすれば大丈夫です。