特車用語について①
「特殊車両通行許可制度」において、「道路法」、「車両制限令」等で定義されている「特車申請」や車両に関する関連用語を説明致します。
あ行
アウトリガー
クレーン付きトラックやラフテレーンクレーンなどの作業時に車体を安定させるため、横に張り出した脚のようなもののこと。
あおり型トレーラ
連結車の「長さの特例」の対象とされる追加3車種の一つ。
貨物の落下を防止するために十分な強度のあおり及び固縛装置を有するトレーラです。(ダンプトレーラも含まれます。)
一括申請(一元的許可)
通行経路が2つ以上の道路管理者の管理する道路に跨る場合、「上級行政機関」である都道府県庁(政令指定都市)に申請すれば他の道路管理者が管理する道路(国道、都道府県道、市町村道)についても申請の審査と個別審査の「協議」を行い、許可又は不許可の判断をすることができます。これを「一括申請」といいます。
一般的制限値
車両制限令第3条において定められている車両諸元の制限値(最高限度)に基づく制限。この「制限値を超える車両」が道路を通行する際には「特殊車両通行許可」が必要になります。
一般的制限値
車両の諸元 |
一般的制限値(最高限度) |
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幅 |
2.5メートル |
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長さ |
12.0メートル |
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高さ |
3.8メートル ※ |
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重さ |
総重量 |
20.0トン ※ |
軸重 |
10.0トン |
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隣接軸重 |
○隣り合う車軸の軸距が1.8m未満 18.0t |
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輪荷重 |
5.0トン |
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最小回転半径 |
12.0メートル |
※高さ指定道路は4.1メートルまで
※重さ指定道路は25トンまで
A条件
特殊車両の通行制限に際して付される通行条件のうち「徐行等の特別の条件を付さない」ものをいいます。
大型車誘導区間
「大型車誘導区間」とは、道路の老朽化への対策として、大型車両を望ましい経路へ誘導し、適正な道路利用を促進するために指定された道路のことです。
高速道路や直轄国道は、都心部の区間やバイパス整備後の直轄国道の区間などを除いて、原則全線「大型車誘導区間」として指定されており、主要港湾・空港・鉄道貨物駅を結ぶ地方管理道路なども「大型車誘導区間」として指定されています。
オープントップバン
オープントップバンとは、アルミバンの天井を外して幌を装着させた形状のことです。幌の部分は取り外すことができ、車検の際に幌を外せば、車高を低く登録することもできます。
オープントップバンは主に高さや長さのある荷物を積むことができ、クレーンを使った重い荷物の積み込みや、ショベルカーを使って飼料などを詰め込めます。車両制限令上では、バン型の車両として取り扱われます。
オフセット
トラクタの場合、後輪軸からどの距離にカプラがあるかを示したもの。
トレーラやトラックの場合、後車軸の中心軸と荷台床面の中心点との距離。
重さ指定道路
「重さ指定道路」とは高速自動車国道または道路管理者が道路の構造の保全および交通の危険防止上支障がないと認めて指定した道路であり、「総重量の一般的制限値」を車両の長さおよび軸重に応じて最大25tとする道路のことです。(幅、長さ、高さの最高限度は一般的制限値と同じです。)
【総重量】
① 20t 最遠軸距が5.5m未満
② 22t 最遠軸距が5.5m以上7m未満で、貨物が積載されていない状態で長さが9m以上の場合。(9m未満は20t)
③ 25t 最遠軸距が7m以上で、貨物が積載されていない状態で長さが11m以上の場合。(9m未満20t、9m~11mは22t)
重さ指定道路を示す標識
オールテレーンクレーン
ホイールクレーンの一種ですが、ラフテレーンクレーンと違いクレーンの操縦席と運転席が別々にあり、ラフテレーンクレーンより大型で車軸数も多くなっています。
オンライン申請
「オンライン申請」とは、国土交通省から提供されているシステムを使った申請方法で、インターネットを利用して、特殊車両通行許可申請の「申請」、「受付」、「許可」をおこなうものです。
https://www.tokusya-ctc.com/?page_id=1205
↑詳細は弊所ホームページのコチラをご参照ください。
か行
海上コンテナ
海運用のコンテナ。特に外航用のものは国際物流において重要な役割を担っている為、殆どが国際標準化機構(ISO)コンテナ委員会が定めた規格に従ったものとなっています。
長さ20ft高さ8.6ft海上コンテナが1974年に正式に規格化されて以来、高さに関しては前述のものが主流でありますが低床式のシャーシーに積載すると車両の高さは車両制限令の一般制限値の3.8m以下となります。
これに対してISO規格長さ40ft高さ9.6ftの海上コンテナ(背高海上コンテナ)は低床式のシャーシーに積載しても車両の高さが4.1mになります。
背高海上コンテナに関しては輸出入貨物を積載するコンテナで国内において積み替えを行わず輸出入時と同じ状態で輸送されるものに限り、前もって走行可能な経路を指定した上で特殊車両通行許可の対象としています。
カプラ
トラクタ(牽引車)がセミトレーラを連結する部分の連結装置でキングピンを受ける部分の事です。
亀の子車載
トラクタヘッドのルーフ上にも運搬車を1台搭載できる仕様のキャリアカーのこと。
軌跡図
申請車両の長さの算定の際、交差点における通行の可否を判断する図を言います。車両の幅、長さが特車車両通行許可限度算定要領により算定できる範囲を超える場合において作成し申請の際、添付します。また、申請後に道路管理者の求めに応じ提出することもあります。
キャリアカー
自動車運搬用の車両です。
協議
「協議」とは、2つ以上の道路管理者の管理する道路に跨る申請を受付けた道路管理者(国道事務所、都道府県庁、政令指定都市等)が、他の道路管理者の管理する道路に関して申請された車両が通行して良いかどうか、他の道路管理者と書類のやり取りを行うことをいいます。
なお、緊急の場合は電話連絡により「協議」を行い双方とも「協議書」の様式に内容を記入する事となっています。(実務上は「協議」の依頼は郵送で行い、「協議回答」はFAXで行うのが主流です。)「道路情報便覧」及び「算定要領」により許可できる場合は「道路情報便覧収録」をもって「協議」、「協議回答」があったものとして扱う為、「協議書」の送付は必要がなく、申請経路のすべてがこのような場合は(協議無しの申請)、許可まで時間があまりかかりません。
狭小幅員
道路情報便覧に収録されている道路幅に関する対象箇所。スパン内(交差点から次の交差点間)内での最小幅員を対象としています。
申請車両に対し道路の有効幅員が狭い為、通行出来るか道路管理者の判断が必要な場合、「個別審査」となります。
許可条件
道路の構造を保全し又は交通の危険を防止する為、特殊車両の通行許可に際して付す「通行条件」のことです。
曲線部障害
道路情報便覧に収録されているカーブの対象箇所で、車道幅員と曲線半径との関係において、スパン内(交差点から次の交差点間)内で最も厳しい箇所を対象としています。
申請車両がカーブを曲がれるかどうか道路管理者の判断が必要な場合、「個別審査」となります。
キングピン
セミトレーラが牽引車と連結される部分の連結装置の事です。道路運送車両の保安基準第2条においてセミトレーラにあってはキングピンの中心から当該セミトレーラの後端までの水平距離を車両の長さとする旨が定められています。
キャブオーバ
キャビン(運転席)をエンジンの上方に配置するものでトラックやバス、トラクタなどの車体形状の一つです。
経路図
特車申請の際、添付する通行経路を記した図。出発地ごとに原則として1/300,000の地図に赤線で経路を示し出発地及び目的地を明示します。
牽引車
トラクタの事です。
合成車両
「包括申請」の場合トラクタ、トレーラごとの車両の諸元を通行条件が最も厳しくなるよう合成したものをいいます。これによって審査を行い、包括的な許可を与えられることになっています。
個別審査
「個別審査」とは、通行しようとしている道路に対し申請車両が物理的に通れるかどうかを各道路管理者が精度の高い検討を申請ごとに行って許可の可否を決定する審査方法のことです。
https://www.tokusya-ctc.com/?page_id=1213
↑詳細は弊所ホームページのコチラをご参照ください。
コンテナ用セミトレーラ
連結車の「総重量と長さの特例」の対象とされる特例5車種の一つ。
貨物の物流において各輸送機関を通じてスムーズに受け渡しされ反復使用に耐える一定の要件を備えた貨物の容器を言います。内航用、航空用、外航用等の種類があります。特に「海コン」と呼ばれるコンテナの中で9.6ftの高さがあるコンテナを運搬する際は、原則「高さ指定道路」を通行することになっていますので、申請時は注意が必要です。
さ行
最遠軸距
車両の通行の許可の手続き等を定める省令第1条においては「車両の最前軸と最後軸の軸間距離」をいい、道路運送車両の保安基準第1条においては「自動車の最前部の車軸中心から最後部の車軸中心までの水平距離をいう」と定義されています。車両制限令では「連結車の場合、連結した状態におけるもの」をいいます。
なお、道路運送車両の保安基準上はセミトレーラにあっては連結装置中心から最後部の車軸中心までの水平距離が最遠軸距と定義されています。最遠軸距に応じて、「車両の通行の許可の手続きを定める省令」第1条、第1条の2項及び「道路運送車両の保安基準」第4条において、車両総重量の最高限度が定められています。(最遠軸距が長くなれば総重量もあがります。)
最小回転半径
車両の回転半径の指標の一つで車両を最も急激に旋回させた際のわだちの半径を言う。車両制限令では最外側のわだちについて計る事とされています。
※セミトレーラなど被牽引車と連結させて通行する場合は、連結させた状態での数値となります。
軸距
車軸の軸間距離(車軸中心の水平距離)
採択路線
「採択路線」とは、特車システムの「道路情報便覧」に情報が登録済みの道路をいいます。
「道路情報便覧」に情報が登録済みの道路の為、申請車両の通行の可否や通行条件が申請前に分かります。主に国道や都道府県道、一部の市区町村道の幹線道路が多く採択されています。
C条件
特殊車両通行許可に際して付する「条件」のうち重量に関してのC条件は「徐行、連行禁止及び当該車両の前後に誘導車を配置する」という条件で、「寸法」に関してのC条件は「徐行及び当該車両の前後に誘導車を配置する」という条件をいいます。
自動車運搬用セミトレーラ
連結車の「総重量と長さの特例」の対象とされる特例5車種の一つ。
自動車を運搬する事を目的として設計された、あるいは専らそのために使用される車両で、現に自動車を運搬しているものをいいます。通称キャリアカー。
ジャックナイフ現象
トレーラが急制動した時、連結部分でくの字に折れ曲がる危険な現象。
車両制限令
道路法第47条1項の規定に基づき道路の構造を保全し又は交通の危険を防止する為、道路との関係において必要とされる車両について制限を定めた政令。
車両占有幅
車両が通行するのに必要な車道幅員のことで、申請車両の幅、長さの算定に際して用いられます。
重セミトレーラ
重量物運搬用で道路運送車両の保安基準第55条の規定に基づく基準の緩和を受けているセミトレーラをいいます。分割不可能な単体物を運搬します。
上空障害
道路情報便覧に収録されている高さに関しての対象箇所。トンネル(ボックスカルバート等を含む)、下路式橋梁(トラス橋等)、道路橋、鉄道橋、及び横断歩道橋等の構造物の建築限界が道路横断方向に車道端から車道端までの範囲内で空間高が4.5m未満の箇所を全て対象としています。
申請車両の高さ(積荷を含む)に対して、トンネルの天井や高架下の高さが十分にあるかどうか道路管理者の判断が必要な場合、「個別審査」となります。
条件書
特殊車両通行許可に際して付す書類の一つで許可に際しての「通行条件」を記したものです。通行時には当然その「通行条件」を遵守して通行しなければなりません。
条件に違反した場合、罰則を受ける場合があります。
徐行
橋梁・交差点・屈曲部・狭小部・上空障害箇所等問題箇所のみの徐行車両が直ちに停止することができるような速度で進行することです。
通行するのに問題となる箇所のみ徐行すれば良いので通行経路全てで徐行しなければいけないわけではありません。
シングルヘッドトラクタ
2軸のトラクタのこと。
新規格車(増トン車)
平成5年の車両制限令の改正によって新たに「特殊車両通行許可」を得ることなく「重さ指定道路」を通行できるようになった総重量が20トン超えから25トン以下の車両をいいます。但し、「重さ指定道路」以外を通行する際は、特車の許可取得が必要になります。
新規開発車両
新たに設計製作される車両で、車両制限令で定める「一般制限値」を超えるもので届出書を提出して国交省道路局から基準に適合するものとして「適合証明書」の交付を受けた車両をいいます。
主にラフテレーンクレーン等が該当します。
スタンション型セミトレーラ
連結車の「長さの特例」の対象とされる追加3車種の一つ。
主に鋼材や原木、コンクリート製品などの運搬に使われる荷台がフラットなトレーラです。平床トレーラやフラットベッドとも言われています。スタンションとはトレーラの荷台に立てる荷崩れを防止するための金属製の支柱のことをいいます。
ステアリング機構付セミトレーラ(舵切り)
トレーラの車軸にもステアリング機構がついたセミトレーラです。
ステアリングドローバー
ポールトレーラについているトラクタとトレーラを連結する棒状のパーツのこと。
制限標識
「道路法」に基づく橋梁等における重量制限並びにトンネル等における高さ制限、または個別的制限がなされる道路において、掲げられた道路標識の事。
橋梁、トンネル等による制限の場合は、標識の明示が義務付けられています。
背高
一般的には9フィート6インチの海上コンテナのことをいいますが、高さがある積載物、または積載状態のことを背高と呼ぶこともあります。
セミトレーラ
積載物の重量の相当部分を連結装置に介して牽引車にもたせかける構造のトレーラのことです。
措置命令
道路管理者が「車両制限令の一般制限値を超える車両を通行させている者」、「特殊車両通行許可に付した通行条件に違反して車両を通行させている者」、「幅等の個別制限に違反して車両を通行させている者」に対して、通行の中止、総重量の軽減、徐行、その他通行の方法について道路の構造の保全、又は交通の危険防止のために必要な措置を命ずる事です。