特例8車種について
「特殊車両通行許可申請」において、安全性を確保しつつ物流を効率化するため、分割可能な貨物(バラ積み)の輸送に関して、通行する道路ごとに総重量および長さに「特例」が設けられている車両があります。
「特例」が適用される車両は、分割可能貨物を運搬するセミトレーラ連結車とフルトレーラ連結車になり、「特例5車種」と「追加3車種」の計8車種があります。(車両制限令第3条第2項)
特例5車種
① バン型セミトレーラ
② タンク型セミトレーラ(ミキサー車、粉粒体運搬車等を含む)
③ 幌枠型セミトレーラ
④ コンテナ用セミトレーラ
⑤ 自動車運搬用セミトレーラ
・フルトレーラ
※フルトレーラ連結車については、トラックおよびトレーラの双方が同一の種類の車両である必要はなく、それぞれが①~⑤に該当すればよい。
追加3車種
貨物の落下を防止するために十分な強度のあおりなどや固縛装置を有している必要があります。
① あおり型セミトレーラ(ダンプトレーラを含む)
※貨物の落下を防止するために十分な強度のあおり及び固縛装置を有すること。
② スタンション型セミトレーラ
※貨物の落下を防止するために十分な強度のスタンション及び固縛装置を有すること。
③ 船底型セミトレーラ
(タイプ1)
(タイプ2)
※貨物の落下を防止するために十分な深さ、強度を有する貨物の支え台及び固縛装置を有すること。
総重量の特例
「総重量の特例」は、「特例5車種」に限り適用があります。「追加3車種」は適用されません。これらの制限値を超える場合は特殊車両通行許可が必要です。
道路種別 |
最遠軸距 |
総重量の |
備考 |
---|---|---|---|
高速自動車国道 |
8m以上 |
25トン |
首都高速道路、阪神高速道路、その他都市高速道路および本州四国連絡橋公団の道路は含まれません。 特例5車種が許可なしで通行可能な限度値 |
9m以上 |
26トン |
||
10m以上 |
27トン |
||
11m以上 |
29トン |
||
12m以上 |
30トン |
||
13m以上 |
32トン |
||
14m以上 |
33トン |
||
15m以上 |
35トン |
||
15.5m以上 |
36トン |
||
重さ |
8m以上 |
25トン |
特例5車種が許可なしで通行可能な限度値 |
9m以上 |
26トン |
||
10m以上 |
27トン |
||
その他の |
8m以上 |
24トン |
特例5車種が許可なしで通行可能な限度値 |
9m以上 |
25.5トン |
||
10m以上 |
27トン |
※セミトレーラ、フルトレーラ以外の連結車として、ポールトレーラやダブルスなどがありますが、これらは「特例」が適用されません。また、バン型などの上記5車種以外のセミトレーラ、フルトレーラ連結車にも「特例」は適用されません。これらの車両には、「一般的制限値」が適用されます。
注意事項として、例えば最遠軸距が12mで総重量が30トンの「特例5車種」に該当する車両が、高速道路(首都高速道路等を除く)を通行する場合は「特例」が適用され許可を取る必要はありませんが、高速道路と一般道路の両方を通行する場合、一般道路の「特殊車両通行許可」を取る必要があります。
※最遠軸距とは
「最遠軸距」とは、車両の最前輪のタイヤの中心から最後輪のタイヤの中心までの距離のことです。ホイールベースと言ったほうがわかりやすいかもしれません。
長さの特例
「長さの特例」は、「特例5車種」と「追加3車種」の両方に適用されます。
道路種別 |
連結車 |
長さ ※3 |
---|---|---|
高速自動車国道 |
セミトレーラ連結車 |
16.5m |
フルトレーラ連結車 |
18m |
|
重さ指定道路 |
セミトレーラ連結車 |
12m 許可限度 ※1 |
フルトレーラ連結車 |
12m 許可限度 ※2 |
※1 首都高速、阪神高速の許可限度は17mまで。
※2 バラ積みフルトレーラ等5車種については平成25年11月に長さが21mまでに緩和されました。
首都高速、阪神高速の許可限度は19mまで。
※3 この特例は、積載貨物が被けん引車の車体の前方又は後方にはみ出していない状態での長さです。
なお、「総重量の特例」の注意事項と同じように、高速道路を通る場合は「長さの特例」が適用されて許可が必要ない場合でも、高速道路と一般道路の両方を通行する時は、一般道路では「特殊車両通行許可」を取る必要があるので注意が必要です。(一般道路の長さの一般的制限値は12mまでの為、12mを超える車両は一般道路の「特車申請」を行い通行許可をとる必要があります。)
認証トラクタとは
平成27年度の法改正で道路運送車両の保安基準第55条の規定により軸重の基準の緩和の適用を受けた車両を指します。
トラクタが2軸エアサスでトレーラが特例8車種のセミトレーラ(従来のバラ積み緩和トレーラ)の場合、トラクタの駆動軸重が11.5トンまでなら牽引できるようになりました。(駆動軸重以外の軸重は原則10トンまでです。)
※認証トラクタの判別条件
自動車検査証の備考欄に次の記載があるか否かが判別基準となります。
① 緩和事項コード 005(軸重)及び制限事項コード 067(基準緩和による運行は、国際海上コンテナを輸送するトレーラをけん引する場合に限る)の両方が記載されている。
② その他検査事項 630(保安基準第4条の2の告示で定めるものに適合)と記載されている。
上記①及び②のいずれかの記載があるものが認証トラクタになります。
※海上コンテナ用セミトレーラ連結車に限り適用していた駆動軸重について特例8車種にも適用されるようになりました。
※駆動軸がエアサスであれば適合します。
※駆動軸重が11.5トン以下であり、第5輪荷重ではありません。
バラ積み輸送に関し特に留意すべき事項
国土交通省より安全運行等に関し次のような指示がされています。
① 最高速度制限を遵守するとともに、カーブ、坂道等道路状況に適応した安全な速度により運行すること。
② 過積載運行および過労運転の防止の徹底を図ること。
③ 特に、積載物品の個別の重量、個数および総重量が明記された発送伝票を携行すること等により、積載重量を把握できるようにすること。
④ 荷崩れをおこしたり、事故の際に積載物品が散乱することの無いよう、貨物の種類に応じ、偏荷重が生じないような積載を行うほか、積載物品の確実な固縛シート掛け等飛散防止措置を行うこと。
⑤ 日常点検整備および定期点検を確実に実施すること。特に、高速道路を運行する場合には、高速運行を考慮した点検・整備を入念に行うこと。
⑥ 基準緩和の認定に際して付された保安上の制限を遵守するとともに、道路交通法および道路法等関係法令の規定を遵守し、違法な状態で運行することがないようにすること。