特殊車両通行許可申請~特車ゴールドについて~
「特殊車両通行許可制度」において、ETC2.0装着車の特車通行許可の簡素化制度(特車ゴールド)が平成28年1月25日から開始されました。
この制度を利用することにより大型車誘導区間における経路選択(迂回)が可能となるため、渋滞や事故、災害などによる通行障害発生時に迂回ができ、輸送を効率化できます。
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)とは
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)とは、業務支援用ETC2.0車載器をセットアップ・装着した車両の登録と、特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)の利用登録を行うことにより、許可更新手続きの簡素化および大型車誘導区間内における経路選択(迂回)が可能となる制度です。
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)を利用すると、申請経路に大型車誘導区間が含まれている場合、大型車誘導区間内における経路選択(迂回)が可能となるため、渋滞や事故、災害などによる通行障害発生時に迂回ができ、輸送を効率化できます。
また、寸法・重量や経路の違反などが確認され、通知が行われた場合を除き、更新時の手続きが従来と比べ簡素化され、ワンクリックで更新申請をすることが出来ます。
※ 経路選択(迂回)が出来るのは、あくまでも大型車誘導区間内だけです。
※ 特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)に対応していないETC2.0の型式があります。
本制度を利用する際のETC2.0は特殊用途用GPSとスピーカーを内蔵した独立型の業務支援型ETC2.0車載器のみが対象となります。
※ 「大型車誘導区間」とは、道路の老朽化への対策として、大型車両を望ましい経路へ誘導し、適正な道路利用を促進するために指定された道路のことです。
高速道路や直轄国道は、都心部の区間やバイパス整備後の直轄国道の区間などを除いて、原則全線「大型車誘導区間」として指定されており、主要港湾・空港・鉄道貨物駅を結ぶ地方管理道路なども「大型車誘導区間」として指定されています。
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)の背景
国等が実施した実験結果によると、軸重20t車が道路や橋梁の劣化に与える影響は、軸重10t車の約4,000台に相当します。また、重量を違法に超過した大型車両は、全走行車両のわずか0.3%でしかありませんが、道路や橋梁の劣化の約9割以上を引き起こしています。
そのため、平成26年4月14日に社会資本整備審議会道路分科会が行った「道路の老朽化対策の本格実施に関する提言」において、重量制限を超過する大型車両を通行させる者に対する取締り・指導について一層強化を図るとともに、特殊車両通行許可制度の審査基準の見直しや審査の迅速化等を図ることで、大型車両が適正に通行しやすい環境を整備することとされました。
これを受けて、国土交通省においては平成26年5月9日に、「道路の老朽化対策に向けた大型車両の通行の適正化方針」を、国民の財産である道路をきわめて大きく痛める重量超過の悪質違反者には厳罰化を、適正に道路を利用して物流を支えておられる方にはより使いやすくといった、メリハリの効いた取り組みを進めていくことを公表しました。
この方針に基づいて、道路を適正に利用する者の許可の簡素化を図るためETC2.0装着車への特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)が導入されることとなりました。
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)の内容
業務支援型ETC2.0車載器を装着した特殊車両で大型車誘導区間の走行を含む通行許可申請があった場合は、大型車誘導区間を包括的に申請があったものとみなして通行できる許可をするとともに、路側機で特定プロープ情報を収集することにより当該車両の通行経路把握を行います。
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)のメリット
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)を利用すると次のようなメリットがあります。
① 大型車誘導区間内では、迂回路の申請が不要になります。
大型車誘導区間内における経路選択(迂回)が可能となるため、渋滞や事故、災害などによる通行障害発生時に迂回することができます。
【通常】
申請・許可された経路のみ通行可能
(一本一本の経路毎の大量な申請が必要)
【特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)】
大型車誘導区間を走行する場合、経路選択可能
(複数経路を1つの申請に簡素化)
※ ただし、出発地や目的地が異なる経路はその都度、申請が必要です。
② 更新時の手続きが簡素化(ワンクリック申請)されます。
更新申請においては、システムで自動作成された申請書の案内連絡に対し、ワンクリックするだけで申請者から更新申請されたものと扱います。
ただし、本制度の許可を受けた車両で法令に違反して通行していることが発覚し、違反の通知を受けた場合には、違反車両に係る申請書の自動作成は行われません。
③ 大型車誘導区間内における迂回経路分の申請手数料が削減できます。
大型車誘導区間内の迂回経路を申請する必要が無くなるため、その分の申請手数料が削減できます。
※ 以前、トレーラの包括申請はできるのに対し、トラクタの包括申請はできませんでしたが、2019年3月25日の特車システムの改修によりトラクタも包括申請ができるようになりました。なお、包括申請の条件は従来通り、同一軸種に限ります。
※ 車両番号と車載器のASL-ID は対で管理されるため、車載器を故障等で交換した場合には、利用登録の変更が必要です。
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)の対象車両
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)は全ての車両が利用できるわけではありません。大型車両誘導区間申請に適合する車両で、かつ、業務支援用ETC2.0車載器を装着しセットアップした車両であることが前提になります。
つまり、大型車両誘導区間申請に適合する車両でなければ、そもそも特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)を利用すること自体できません。
大型車両誘導区間申請に適合する車両の許可基準
※ 業務支援用ETC2.0車載器購入後の通行許可申請登録時に本制度を利用できないことが判明することがないように、事前に本制度を利用しようとする車両が本制度の対象車両か、また、全ての申請経路区間に大型車誘導区間が含まれているか確認する必要があります。
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)の利用条件
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)は次の条件を満たす方が利用できます。
① 特殊車両通行許可申請におけるオンライン申請システムで手続きを行うこと、また、道路管理者からの通行許可等に関する電子メールを受信することができること。
② ETC2.0装着車への特殊車両通行許可簡素化制度利用規約に同意すること。
③ ETC2.0装着車への特殊車両通行許可簡素化制度における特定プローブ情報の利用及び取り扱い方針に同意すること。
④ 特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)制度を利用する車両が大型車両誘導区間申請に適合する車両の許可基準を満たしており、当該車両の車両情報及び装着している業務支援用ETC2.0車載器の情報(車載器管理番号とASL-ID)をシステムに利用登録すること。
⑤ 申請経路内に大型車誘導区間が含まれていること。
※ 車両を通行させる場合は、常に業務支援用ETC2.0車載器を稼働させ路側機と通信できる状態にしておくこと。
※ 走行前に通行条件を確認すること。
※ 1経路でも大型車誘導区間が含まれていない経路がある場合、ETC2.0簡素化制度の適用は受けられません。
※ 利用登録後、車載器と装着車両の組み合わせに変更があった場合は、利用登録の変更を行うこと。
特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)の用語について
・大型車誘導区間
「大型車誘導区間」とは、道路の老朽化への対策として、大型車両を望ましい経路へ誘導し、適正な道路利用を促進するために指定された道路のことです。
高速道路や直轄国道は、都心部の区間やバイパス整備後の直轄国道の区間などを除いて、原則全線「大型車誘導区間」として指定されており、主要港湾・空港・鉄道貨物駅を結ぶ地方管理道路なども「大型車誘導区間」として指定されています。
・業務支援用ETC2.0車載器
特殊用途用GPSとスピーカーを内蔵した独立型の業務支援用ETC2.0車載器のこと。
※ 業務支援用ETC2.0車載器以外のETC2.0車載器では特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)は利用できません。
・特定プローブ情報
特定プローブ情報とは、業務支援用ETC2.0車載器に記録された走行位置の履歴等の情報「プローブ情報」に、「車載器の特定に関する情報」を付与した情報を、道路管理者が管理するDSRC路側無線機との無線通信により業務支援用ETC2.0車載器から収集される情報のこと。
※ 業務支援用ETC2.0車載器とDSRC路側無線機との無線通信により申請車両がどこを通行したかが分かるようになっています。
・路側機
道路管理者が特定プローブ情報を収集するため、業務支援用ETC2.0車載器と通信を行う路側に設置された機器のこと。
・セットアップ
車載器に通行料金の支払いに必要な情報を記録して利用可能な状態にすること。
・車載器管理番号
車載器ごとに割り当てられた識別番号のこと。
※ 特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)を利用の際、初回申請時に登録する必要があります。
・ASL-ID
無線通信の相手方を識別するための符号のこと。
※ 特殊車両通行許可簡素化制度(特車ゴールド)を利用の際、初回申請時に登録する必要があります。
特殊車両通行許可簡素化制度申請手数料について
特殊車両通行許可簡素化制度を利用した申請では、全ての申請経路で手数料が必要となります。
申請経路で手数料がかかる場合(経路が2以上の道路管理者に跨る場合)は特殊車両通行許可簡素化制度申請でも同様の手数料がかかります。
申請経路で手数料がかからない場合(経路が2以上の道路管理者に跨らない場合)でも、大型車誘導区間内は2以上の道路管理者に跨る為、特殊車両通行許可簡素化制度の申請では手数料がかかります。
※ 経路が直轄国道のみの場合でも手数料がかかります。
大型車誘導区間で完結している経路の場合:160円×台数×経路数
大型車誘導区間で完結してない経路の場合:200円×台数×経路数
※ 大型車誘導区間で迂回が出来る為、複数の路線で通行出来ますが、実際に掛かる手数料は、申請した経路数分のみになります。
対象パターン |
通常の申請 |
特車ゴールド |
|
---|---|---|---|
大型車誘導区間で |
道路管理者が2以上 |
160円 |
160円 |
道路管理者が1つ |
なし |
160円 |
|
大型車誘導区間で |
道路管理者が2以上 |
200円 |
200円 |
道路管理者が1つ |
なし |
200円 |
対象パターン |
通常の申請 |
特車ゴールド |
|
---|---|---|---|
大型車誘導区間を |
道路管理者が2以上 |
200円 |
制度適用外 |
道路管理者が1つ |
なし |
制度適用外 |
特殊車両通行許可簡素化制度の許可で通行する際の携行書類
特殊車両通行許可簡素化制度では通常の許可証に加えて「大型車誘導区間算定帳票」と「大型車誘導区間経路図通行条件マップ」を車両に携行する必要があります。
※ 大型車誘導区間算定帳票は申請書作成状況一覧画面よりダウンロードできます。ただ、車両諸元によっては1,000枚程度出力される場合もあるのでダウンロード出来るようになるまで数時間~数日かかることもあります。
※ 大型車誘導区間経路図通行条件マップは国土交通省の特殊車両通行許可システムのホームページにある「各種ダウンロード」内の「ETC2.0装着車への特殊車両通行許可簡素化制度に関する資料」からダウンロードできます。
http://www.tokusya.ktr.mlit.go.jp/PR/download/index.html
↑
特殊車両通行許可システムの各種ダウンロードのURLです。
大型車誘導区間経路図通行条件マップは通行する箇所を出力し携行します。
なお、全国版をあらかじめ印刷しておけば目的地が追加された場合等で追加分の通行条件マップを改めて印刷する必要はありません。
大型車誘導区間内の許可経路の取り扱い
① 許可の範囲について
大型車誘導区間全線の経路が付加されることになりますが、付加される経路のうち個別審査となる箇所については許可の対象外となり(個別協議を行わない為。ただし、申請経路は除く)、大型車誘導区間外と大型車誘導区間の接続交差点においては申請経路の進行方向のみ許可されます。なお、個別審査となった交差点は折進できませんが直進は可能です。
② 通行条件の区分C条件又はD条件の取扱いについて
申請経路の通行条件がC条件又はD条件となり、車両の前後に誘導車を配置することを条件とする区間又は箇所があるときには、誘導車の配置が必要となる区間又は箇所に限定して当該許可条件により通行する事ができます。
③ 大型車誘導区間改定時の取り扱いについて
大型車誘導区間の追加指定が行われた場合、追加指定区間においても審査を実施し追加許可されます。大型車誘導区間内の許可条件に変更があった場合は、許可を行った道路管理者から変更通知があります。変更内容に従って通行してください。
特殊車両通行許可簡素化制度オンライン特車システムの操作の流れ
① 特殊車両通行許可簡素化制度利用登録をします。
特殊車両通行許可簡素化制度を利用する場合、最初に「車両番号」とETC2.0車載器のセットアップ手順書に記載されている「車載器管理番号」、「ASL-ID」を入力します。
↓
② 申請データを作成します。
通常の申請と同じように作成します。
出来上がった申請データをダウンロードする際、新たに大型車誘導区間算定結果帳票という項目があるので同じようにダウンロードして印刷します。
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③ 国道事務所へデータを送信し申請します。
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④ 許可証を受領します。
↓
⑤ 国土交通省の特殊車両通行許可システムのホームページから大型車誘導区間経路図通行条件マップをダウンロードして印刷します。
特殊車両通行許可簡素化制度では、通常の許可証の他に「大型車誘導区間算定結果帳票」と「大型車誘導区間経路図通行条件マップ」を携行する必要があります。