道路の種類について
「特殊車両通行許可申請」において必ず知っておかなければならないのが道路の種類になります。この道路の種類を知っておかないと「オンライン申請」は出来るのか、それとも「窓口申請」になるのか、「窓口申請」の場合どこに申請しなければならないのか判断する事が出来ません。
「特殊車両通行許可申請」において道路の種類を把握しているかどうかは最も重要なポイントになります。
一般国道
名称に国道と付いているので全ての国道は国が管理していると思われがちですが、実際には多くの国道が都道府県の管理となっています。国が管理している国道か都道府県が管理している国道かで「オンライン申請」が出来るかどうかの分かれ道となります。
① 直轄国道
国が直接管理している国道です。「特殊車両通行許可申請」においては各国道事務所が管理を担当しています。なお、「オンライン申請」は国土交通省のシステムなので次の条件を満たしていなければ利用できません。
・申請する通行経路内に、直轄国道が含まれていること。
・直轄国道を通行するにあたり、許可を得なければならない車両であること。
「オンライン申請」のシステムは国道事務所のみ導入している為、直轄国道を通行していない通行経路の申請は「オンライン申請」はできません。この場合は都道府県や市区町村への「窓口申請」となります。
https://www.tokusya-ctc.com/?page_id=1205
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「オンライン申請」と「窓口申請」の詳細につきましては弊所ホームページのコチラをご参照ください。
② 補助国道
都道府県が管理している国道です。
国道という名称が付いていても管理しているのが都道府県になりますので、「直轄国道」を通行しておらず、「補助国道」のみの通行の場合、申請先は原則都道府県になり、「オンライン申請」はできません。「窓口申請」となります。
申請先は、都道府県庁の場合と地域を管轄する土木事務所の場合がありますので申請前に問い合わせをして確認しましょう。
都道府県道
都道府県が管理している道路です。
「直轄国道」を通行していない場合は、申請先は原則都道府県になりますので「オンライン申請」はできません。「窓口申請」となります。
申請先は、都道府県庁の場合と地域を管轄する土木事務所の場合がありますので申請前に問い合わせをして確認しましょう。
なお、通行経路が2つ以上の道路管理者の管理する道路に跨る場合、「上級行政機関」である都道府県庁(政令指定都市)に申請すれば他の道路管理者が管理する道路(国道、都道府県道、市町村道)についても申請の審査と個別審査の「協議」を行い、許可又は不許可の判断をすることができます。これを「一括申請」といいます。
市区町村道
市区町村が管理している道路です。
直轄国道や都道府県道を通行していない場合は、申請先は原則市区町村になりますので「オンライン申請」はできません。「窓口申請」となります。
なお、「下級行政機関」である市区町村は他の道路管理者が管理する道路(国道、都道府県道、市町村道)の申請の審査と個別審査の「協議」をすることは出来ません。
例えば、A市道とB市道だけを通行する場合、両方に申請しなければなりません。なぜなら、A市とB市は「下級行政機関」に該当し、自身の管理する道路しか審査出来ない為です。
A市とB市両方に申請しなければならないとなると、当然A市用とB市用の申請書を作らなければならず、許可証もA市とB市の2部となり管理するにも手間がかかります。
このような場合は、市区町村より「上級行政機関」である都道府県庁に申請を行います。当然、都道府県庁に申請するにも条件があり、都道府県庁の管理する道路を通行することが必要です。
つまり、A市とB市の間にC県道を通行すれば、C県庁に申請することが出来るようになり、市区町村より「上級行政機関」であるC県庁がA市道とB市道についてもまとめて審査を行ってくれるということです。
※ 「協議」とは、2つ以上の道路管理者の管理する道路に跨る申請を受付けた道路管理者(国道事務所、都道府県庁、政令指定都市等)が、他の道路管理者の管理する道路に関して申請された車両が通行して良いかどうか、他の道路管理者と書類のやり取りを行うことをいいます。
高速道路
高速道路は各高速道路会社が管理しています。
一例として次に挙げる会社が高速道路会社となります。
・東日本高速道路株式会社(NEXCO東日本)
・中日本高速道路株式会社(NEXCO中日本)
・西日本高速道路株式会社(NEXCO西日本)
・首都高速道路株式会社
・名古屋高速道路公社
・阪神高速道路株式会社
申請窓口は通行する高速道路の各高速道路会社となりますが、「一括申請」は出来ません。
つまり、各高速道路会社が直接管理する自社の高速道路を通行する経路のみが審査の対象となります。(一般道や他社の高速道路は審査対象外です。)
通常であれば、国道事務所や都道府県庁に申請し、「一括申請」で高速道路も審査してもらえますので、直接、高速道路会社に特車申請することはまずありません。
高速道路会社に窓口申請する例として、A高速道路会社が管理するa高速道路で工事を行う為、国道事務所や都道府県に申請すると通常なら不許可となるような「高速道路の一般的制限値」を超えた寸法や重量の車両を搬入しなければならい場合、A高速道路会社に直接「窓口申請」を行って例外的に許可してもうことができます。当然ながら、高速道路会社が審査出来るのは自社が管理する高速道路だけですので、一般道は別途、国道事務所や都道府県に申請し、通行許可を得る必要があります。
申請の受付窓口
|
オンライン申請 |
一括申請 |
---|---|---|
国道事務所 |
○ |
○ |
都道府県・指定市 |
× |
○ |
市区町村 |
× |
× |
高速道路会社 |
× |
× |
道路法適用外道路
道路法の第三条で道路の種類は次のように定められています。
一 高速自動車国道
二 一般国道
三 都道府県道
四 市町村道
道路法で定められているのは第三条の一項から四項の4種類ということになり、これら以外の道路は道路法の及ばない「道路法適用外道路」となります。
一例として次に挙げる道路が主に「道路法適用外道路」となります。
・港湾道路 港の道路で港湾事務所が管理しています。
・空港道路 空港の道路で、空港が管理しています。
・林道 農林水産省管轄の役所が管理しています。
・農道 農林水産省管轄の役所が管理しています。
・私道 土地の所有者など
※「特殊車両通行許可制度」は国土交通省管轄です。
「特殊車両通行許可制度」はあくまでも「道路法に基づく道路」のみが審査対象であって、道路法に基づかない「道路法適用外道路」は審査対象外となります。
ここで一番注意しなければならないのが、「道路法適用外道路」はあくまでも「特殊車両通行許可制度」の対象外なだけであり、【無許可で通行できる道路ではない】ということです。
つまり、「道路法に基づく道路」と「道路法適用外道路」の両方を通行する場合は、「道路法に基づく道路」を通行する為に「特殊車両通行許可制度」の通行許可と「道路法適用外道路」を通行する為に「道路法適用外道路」の管理者からも通行許可を得る必要があるということです。
なお、特殊車両通行許可証の条件書【通行の際の注意事項】の6で、「道路法に基づく道路」以外の部分(農道、林道、私道、港湾道路等をいう。)については、許可の対象とならないので注意すること。と記載されています。
大型車誘導区間
「大型車誘導区間」とは、道路の老朽化への対策として、大型車両を望ましい経路へ誘導し、適正な道路利用を促進するために指定された道路のことです。
高速道路や直轄国道は、都心部の区間やバイパス整備後の直轄国道の区間などを除いて、原則全線「大型車誘導区間」として指定されており、主要港湾・空港・鉄道貨物駅を結ぶ地方管理道路なども「大型車誘導区間」として指定されています。
高さ指定道路
「高さ指定道路」とは道路管理者が道路の構造の保全および交通の危険防止上支障がないと認めて指定した道路であり、「高さの一般的制限値」を4.1mとする道路のことです。
※ 高さが4.1mある背高海上コンテナ車の場合、原則として出発地から目的地まで、高さ指定道路を通行しなければならいルールがあります。
仮に、通行経路の途中で、高さ指定道路→高さ指定の無い道路→高さ指定道路と通行する経路は補正の対象(申請先によっては差戻しや不許可)となりますので注意が必要です。
高さ指定道路を示す標識
重さ指定道路
「重さ指定道路」とは高速自動車国道または道路管理者が道路の構造の保全および交通の危険防止上支障がないと認めて指定した道路であり、「総重量の一般的制限値」を車両の長さおよび軸重に応じて最大25tとする道路のことです。(幅、長さ、高さの最高限度は一般的制限値と同じです。)
【総重量】
①20t
最遠軸距が5.5m未満
②22t
最遠軸距が5.5m以上7m未満で、貨物が積載されていない状態で長さが9m以上の場合。(9m未満は20t)
③25t
最遠軸距が7m以上で、貨物が積載されていない状態で長さが11m以上の場合。(9m未満20t、9m~11mは22t)
重さ指定道路を示す標識